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手足のしびれ・力が入らない

手足のしびれや力が入らない症状

手足のしびれや力が入らない症状は、さまざまな原因によって引き起こされる可能性があり、それに伴う疾患の範囲も広いです。これらの症状は、軽度なものから日常生活に重大な影響を及ぼすものまで多岐にわたります。

日常生活での具体的な困りごと

  • ペンや箸がうまく持てないため、字を書くのが難しい。
  • 細かい作業(針に糸を通すなど)が困難になる。
  • 靴の紐が結べない、ボタンを留められない。
  • 歩いている途中で突然足がつまづく。
  • 鍋やフライパンが持てなくなる。
  • 持続的な動作(掃除や料理)が疲労感で続けられない。

注意が必要な症状

  • しびれが手足だけでなく、顔や体幹にも広がっている。
  • 急激に片側だけが動かせなくなった。
  • しびれや脱力が進行して、歩けなくなった。
  • 夜間に症状が強まり、なかなか眠れない。

このような場合は、なるべく早めに受診して適切な検査を行いましょう。

手足のしびれの症状の具体例

しびれは、神経の障害や血行不良に関連して起こり、以下のような感覚が生じます:

ピリピリ・チクチクする感覚

針で刺されたような痛みや、触れるとチクチクした感じがする。
例:長時間正座した後に足が痺れる感覚に似ている。特に寝起きや寒冷環境で悪化する。

ジンジンとした鈍い感覚

電気が流れるような感じで、特に神経が圧迫されたときに起こりやすい。
例:肘をぶつけた後に小指がジンジンとする感覚。動作を繰り返すと強まる。

麻痺感(感覚の鈍さ)

皮膚に触れても感覚が鈍くなる、または完全に感じなくなる。
例:靴下を履いているのに履いていないような異常感覚が、特に足先で感じられることが多い。

冷たさや焼けるような感覚

足先や指先が冷たく感じたり、逆に熱く感じることがある。
例:冷え性のような感覚だが、実際の温度とは関係がない。

力が入らない(脱力)の症状の具体例

筋力低下は、筋肉や神経の問題で起こり、以下のような形で現れることがあります:

特定の動作が難しくなる

手指の力が弱くなり、ボタンを留めたり、ペンを握るのが難しい。
例:短時間の作業でも疲労感を覚えることがあり、繰り返す動作が困難になる。

物を持てない・握力の低下

コップや箸を落としてしまう。
例:スマートフォンを長時間持ち続けられない、買い物袋を持つとすぐに手が痛む。

歩行や姿勢が不安定になる

足元がふらつき、転倒しやすくなる。
例:運動後や疲労時に顕著になり、階段の上り下りが特に危険となる。

左右差が生じる

一方の手や足だけが動かしづらい(例: 脳卒中が原因の場合)。
例:右手だけ握力が弱い、左足だけふらつく。動作がぎこちなくなるケースが多い。

しびれや脱力感の原因・考えられる疾患

末梢神経の障害

末梢神経が損傷または圧迫されることで、しびれや筋力低下が生じることがあります。

  • 糖尿病性ニューロパチー:
    糖尿病に伴う末梢神経の損傷が原因で、両手や両足にしびれが生じることがあります。初期には足先のしびれが顕著です。
  • 手根管症候群:
    手首の手根管で正中神経が圧迫され、手や指のしびれが生じます。特に夜間に症状が強くなることが多いです。
  • 肘部管症候群:
    肘付近で尺骨神経が圧迫され、小指や薬指にしびれや筋力低下が起こります。
  • 椎間板ヘルニア:
    頚椎や腰椎の神経根が圧迫されることで、腕や脚にしびれや筋力低下が生じます。

中枢神経の障害

脳や脊髄の異常による場合、手足のしびれに加え、言語障害や視覚障害など他の神経症状がみられることがあります。

  • 脳卒中(脳梗塞・脳出血):
    脳の血流障害によって、片側の手足に突然のしびれや筋力低下が生じることがあります。早期診断と治療が重要です。
  • 多発性硬化症:
    中枢神経系に炎症が生じる自己免疫疾患で、進行性のしびれや筋力低下が現れます。
  • 脊髄損傷:
    脊髄の圧迫や損傷により、体の特定の部分にしびれや麻痺が生じます。

筋肉や神経筋接合部の異常

筋肉そのものや神経と筋肉の接合部の問題が原因になる場合があります。

  • 筋ジストロフィー:
    筋肉が徐々に弱っていく遺伝性の病気で、力が入りにくくなることがあります。症状は進行性で、特定の動作が困難になります。
  • 重症筋無力症:
    神経と筋肉の接合部に異常が生じ、疲労感や筋力低下が出現します。目の周囲の筋肉に影響を及ぼすこともあります。

血行不良や代謝異常

血液循環や代謝に異常がある場合も、しびれや筋力低下が起こることがあります。

  • 末梢動脈疾患(PAD):
    血管の動脈硬化により血流が不足し、脚にしびれや痛みが生じることがあります。
  • ビタミン欠乏症:
    ビタミンB1やB12の欠乏は、末梢神経の機能低下を引き起こし、しびれや筋力低下を伴うことがあります。

心因性の原因

精神的なストレスや不安が、身体症状としてしびれや筋力低下を引き起こすこともあります。例えば、強いストレスを受けた後に手足が急にしびれるケースや、極度の緊張によって歩行が困難になる場合があります。また、職場の人間関係の悩みや家庭内のトラブルなど、慢性的な心理的負担が原因で、慢性的なしびれや脱力感が現れることもあります。

  • パニック障害:
    突然の強い不安発作により、過換気やしびれが生じます。
  • うつ病:
    長期間の倦怠感や意欲低下に伴い、筋力低下や四肢の重さを感じます。
  • 過換気症候群:
    強いストレス時に呼吸が速くなり、手足のしびれや硬直を引き起こします。
  • 機能性神経症状:
    精神的な要因により、実際に神経に損傷がなくても、しびれや筋力低下が現れることがあります。

これらの症状がみられる場合は、より専門的な医療機関での診察が必要です。

診断のために必要な検査

診断には、患者さんの症状や背景に基づいてさまざまな検査が行われます。

  1. 血液検査
  2. 神経伝導速度検査
  3. MRI/CT(画像診断)
  4. 筋電図検査

血液検査

血液検査は糖尿病やビタミン欠乏症が疑われる場合に重要で、血糖値やビタミンB1/B12の不足を確認します。足先のしびれや慢性的な疲労感を訴える場合に優先されます。

神経伝導速度検査

神経伝導速度検査は、手根管症候群や末梢神経障害が疑われる場合に有用です。指先の感覚異常やピリピリとした痛みを訴える患者では、神経の伝導速度を測定して問題の有無を調べます。

MRIやCTスキャン

MRIやCTスキャンは、中枢神経系の異常や腫瘍、脊髄圧迫の疑いがある場合に実施されます。急激な片側の麻痺や視覚障害を伴う場合には特に必要で、構造的な異常を詳細に確認します。

筋電図検査

筋電図検査は、筋力低下や疲労感が主症状の場合に使用されます。重症筋無力症や筋疾患が疑われる場合に、筋肉と神経の接続が適切に機能しているかを評価します。これらの検査は、症状の原因を特定し、適切な治療方針を立てるために重要です。

手足のしびれ・力が入らない場合の治療

治療方針・治療法は、症状の原因によって異なります。

  • 薬物療法:神経痛の軽減やビタミン補充、炎症を抑える薬剤の使用などを検討します。
  • 理学療法:筋力回復や血流改善のためのリハビリが有効となる場合があります。
  • 手術:ヘルニアや神経圧迫の解放が必要な場合は手術が検討されます。
  • 生活習慣改善:糖尿病や動脈硬化の管理が重要です。食事療法や運動療法を検討します。

症状が持続したり悪化した場合は、早めに専門医を受診して適切な診断と治療を受けることが重要です。