頭痛とは
頭痛は、脳神経内科で非常に一般的な症状の一つで、頭部や首周辺に痛みや不快感を感じる状態を指します。頭痛自体は病気ではなく、さまざまな原因によって引き起こされる症状です。
一般的な風邪の症状として頭痛の症状があらわれる患者さんも少なくありません。中でも新型コロナウイルス感染症の症状として頭痛は依然として一般的で、患者さんの72.1%に頭痛が見られるという研究結果があります。コロナ関連の頭痛は、拍動性の痛み、頭が重くなる感覚、刺すような鋭い痛みなど、個人によって異なる形で現れます。46.4%の患者さんが眠れないほどの強い頭痛を経験しており、日常生活に大きな影響を与えています。
このように頭痛は誰にでも起こり得る一般的な症状ですが、中には命に関わる疾患が隠れている場合があります。特に「突然発症した激しい頭痛」や「意識障害、麻痺、発熱を伴う頭痛」は緊急対応が必要です。
すぐに受診が必要な頭痛の症状
以下の症状がある場合は、くも膜下出血や感染症などの重篤な疾患が疑われるため、速やかな医療機関の受診が必要です:
- これまでに経験したことがないひどい頭痛
→ 突然現れる激しい痛みが特徴です。 - 短時間でピークに達する頭痛
→ 雷鳴のような急激な痛みは、特に危険信号です。 - 発熱を伴う頭痛
→ 髄膜炎などの感染症が原因の可能性があります。 - 手足の麻痺やしびれを伴う頭痛
→ 脳卒中の初期症状である場合があります。
日常的な頭痛でも、生活に支障が出る場合や痛みが慢性化している場合は、脳神経内科を受診することをお勧めします。
こわくない頭痛・こわい頭痛
頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛の2種類に大別されます。
一次性頭痛は、特定の病気や明らかな原因がなく、頭痛そのものが主要な問題となるものです。
- 片頭痛
- 緊張型頭痛
- 群発頭痛
などの頭痛があげられます。
一次性頭痛は生命を脅かすほどのこわい頭痛ではありません。しかし、場合によっては患者さんの生活の質に大きな影響を与える可能性があります。日本の研究によると、片頭痛患者の74%が日常生活に支障をきたしており、慢性緊張型頭痛患者の40.5%も同様の影響を受けています。
二次性頭痛は、他の疾患や明確な原因が存在し、それに伴って頭痛が起こるものです。二次性頭痛は、命に関わる疾患が隠れている可能性があるため、放置すると危険を伴うこわい頭痛です。
- 脳血管疾患
- 感染症
- 頭部外傷
- 薬剤性頭痛
- その他
すべての二次性頭痛が命に直結するわけではありませんが、適切な治療を受けて冷静に対応することが大切です。
片頭痛
片側性のズキズキとした痛みが特徴で、吐き気や光・音に対する過敏を伴うことが多いです。発作的に数時間から数日続きます。原因として脳の血管の拡張や炎症が関与していると考えられています。
緊張型頭痛
頭全体が締め付けられるような鈍い痛みが特徴です。ストレス、姿勢の悪さ、筋肉の緊張が主な原因です。痛みは軽度から中程度で、日常生活に大きな支障をきたすことは少ないですが、慢性化しやすいです。
群発頭痛
一側性で非常に激しい痛みを伴い、目の周囲に集中します。発作は一定期間(数週間から数か月)毎日のように続きますが、その後数か月から数年の寛解期を挟むことがあります。自律神経症状(涙目、鼻づまりなど)を伴うことが多いです。
脳血管疾患による頭痛
くも膜下出血
突然の激しい頭痛(雷鳴頭痛)が特徴です。命に関わるため緊急対応が必要です。
脳梗塞・脳出血
局所的な神経症状(麻痺や言語障害)を伴うことがあります。
感染症による頭痛
髄膜炎
発熱、首の硬直(項部硬直)、意識障害を伴うことがあります。
副鼻腔炎
鼻の奥の炎症により頭痛が生じることがあります。
頭部外傷による頭痛
頭を打った後に生じる頭痛は、急性期(数時間から数日)だけでなく、慢性的に続くこともあります。
薬剤性頭痛
過剰な鎮痛薬の使用や特定の薬の副作用によって頭痛が引き起こされることがあります。
その他
- 高血圧:特に急激な血圧上昇で頭痛が現れることがあります。
- 眼精疲労:長時間のPC作業や視力の問題によって頭痛が誘発されることがあります。
頭痛の診断と治療
頭痛の診断では、主に以下が重要になります:
- 問診:痛みの性質(部位、強さ、持続時間、誘因)、既往歴、生活習慣などを確認します。
- 身体診察:神経学的検査などを行います。
- 画像検査:CTやMRIを用いて器質的な原因ないか)を確認します。
- 血液検査:感染症や炎症の有無を確認します。
治療は頭痛の種類や原因に応じて異なります。
一次性頭痛では、薬物療法(トリプタン、NSAIDs、予防薬)や生活習慣の改善が中心となります。二次性頭痛の場合は、原因疾患の治療が必要です。
まずは脳神経内科を受診して、適切な診断を受けましょう。