頭痛とは
頭痛とは、頭や首のまわりに生じる痛みや不快感の総称です。頭痛そのものは「病気」ではなく、さまざまな要因・病気によって起こる「症状」のひとつです。多くの人が経験する一般的な症状ですが、原因によっては重い病気が隠れている場合もあります。
風邪やコロナによる頭痛
- 風邪による頭痛
発熱やのどの痛みとあわせて起こることが多く、比較的軽度なケースがほとんどです。 - 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による頭痛
頭痛はCOVID-19の一般的な症状の一つです。数日から数週間にわたって持続することもあります。ウイルスによる炎症反応や免疫システムの反応が関係していると考えられています。通常は鎮痛薬で様子をみますが、症状が強い場合や長引く場合は医師の診察を受けることが推奨されます。
こうした頭痛は誰にでも起こり得る一般的な症状ですが、「突然の激しい頭痛」や「意識障害や麻痺、発熱を伴う頭痛」は命に関わる可能性もあるため、注意が必要です。
こんな頭痛は要注意
早めに受診が必要な症状
次のような頭痛は、くも膜下出血や感染症などの重い病気のサインである可能性があります。早めに病院を受診しましょう。
- これまでに経験したことがないひどい頭痛
突然あらわれ、耐えがたいほどの強い痛みが特徴です。 - 短時間でピークに達する頭痛
「雷鳴頭痛(らいめいずつう)」と呼ばれ、いきなりガンと痛みが走る場合は要注意です。 - 発熱を伴う頭痛
髄膜炎など感染症の可能性があります。首の痛みや動かしづらさ、意識障害を伴う場合は特に注意が必要です。 - 手足の麻痺やしびれを伴う頭痛
脳梗塞や脳出血の初期症状の場合があります。すぐに受診してください。
一次性頭痛・二次性頭痛
頭痛は大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分けられます。
一次性頭痛
特定の大きな病気が見つからず、頭痛そのものが主な問題となっている頭痛です。命にかかわることは少ないですが、生活の質(QOL)を下げることがあります。
片頭痛
片側のこめかみ周辺などにズキズキした痛みが数時間~数日続き、吐き気や光・音に敏感になることが多いです。血管の拡張や炎症が関係していると考えられています。
緊張型頭痛
頭全体が締め付けられるような重い痛みが特徴。ストレス、長時間のデスクワーク、肩や首のこりが誘因になりやすいです。痛みは軽い場合が多いですが、慢性化してダラダラ続く方もいます。
群発頭痛
目のまわりの激しい痛みが特徴で、涙や鼻づまりなどの症状を伴うことが多いです。数週間~数か月続く場合があります。
二次性頭痛
他の病気が原因で起こる頭痛です。病気を治療しないと頭痛が収まらないだけでなく、場合によっては命に関わることもあります。
脳血管疾患
くも膜下出血、脳梗塞、脳出血など。突然の激しい頭痛や手足の麻痺・ろれつが回らないなどの症状を伴う場合は緊急対応が必要です。
感染症
髄膜炎や副鼻腔炎など。高熱、首の硬直、意識障害などを伴う場合があります。
頭部外傷
転倒や事故などで頭を強く打ったあとに起こる頭痛。数日~数か月続く場合もあり、注意が必要です。
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛、MOH)
鎮痛薬を過剰に使用し続けることで起こる頭痛です。
その他
高血圧の急激な上昇や、目の疲れ(眼精疲労)によっても頭痛が起こることがあります。
頭痛の診断方法
頭痛が続く場合や、強い痛みで日常生活に支障が出る場合は、脳神経内科など専門の医療機関を受診してみてください。主な診断手順は以下のとおりです。
問診
痛みの始まり方、強さ、痛む部位、痛みの持続時間、頻度、痛みが和らぐ(または悪化する)きっかけ、過去の病歴・普段の生活習慣などを詳しく聞き取ります。
身体診察
血圧、脈拍の測定に加え、視野・視力チェック、神経学的検査(手足の動きや感覚、バランス)などを行います。
画像検査(CT・MRI)
脳や血管に異常(くも膜下出血、脳腫瘍など)がないかを確認します。緊急性が疑われる場合は即日検査が行われることもあります。
血液検査
感染症や炎症などが頭痛の原因になっていないかを調べます。
頭痛の治療
一次性頭痛の治療
薬物療法
- 片頭痛の発作時はトリプタン製剤や鎮痛薬、緊張型頭痛には鎮痛薬や筋弛緩薬などを使用することが多いです。
- 発作を予防する薬(予防薬)を使うことで、頭痛の頻度を減らす場合もあります。
生活習慣の改善
- 規則正しい睡眠やバランスの良い食事、適度な運動、ストレス管理が大切です。
- 長時間のデスクワークが多い方は、こまめな休憩やストレッチを心がけましょう。
二次性頭痛の治療
原因となる病気の治療が最優先
- たとえば、髄膜炎であれば抗菌薬や抗ウイルス薬による治療、脳梗塞の場合は血栓を溶かす治療や血流改善のための薬物療法が行われます。
- 頭部外傷や脳出血の場合は、必要に応じて外科的手術が検討されます。
まずは専門医を受診しましょう
「たかが頭痛」と思っていても、慢性的に続いたり、日常生活に支障をきたすほどの痛みがある場合は、脳神経内科などの専門医を受診しましょう。正しい診断を受けることで、二次性頭痛を見逃さずに治療することができ、また一次性頭痛に対しても効果的な治療法や予防法を提案できます。
頭痛のメモをつけると診断の助けになります
- いつ、どこで、どのように頭が痛くなったか
- 痛みの強さや持続時間、随伴症状(吐き気、めまいなど)
- 何をしたら楽になるか・悪化するか
これらを記録しておくと、医師の診察がスムーズになり、より的確な治療につながります。
まとめ
頭痛は誰にでも起こり得るごく身近な症状ですが、中には命に関わる病気が原因のこともあります。
「これまでにない強い頭痛」「急に痛みが強くなった」「手足の麻痺を伴う」などの症状がある場合は、速やかに受診しましょう。
日常的な頭痛でも、長引く場合や痛みが激しいときは、一度脳神経内科を受診し、原因をはっきりさせることが大切です。
まずは専門の医療機関で診断を受けて、早めに適切な対応をすることが、日々の生活を楽にする第一歩です。