アルツハイマー型認知症とは?
認知症は、さまざまな病気が原因で起こる「もの忘れ」や「判断力の低下」などの症状の総称です。 その中でも最も多い原因が「アルツハイマー病」です。 この病気が原因で起こる認知症を「アルツハイマー型認知症」と呼びます。
アルツハイマー型認知症の初期では、
- 少し前のことを思い出せない
- カレンダーを見ても今日の日付がわからない
など、記憶に関する症状が現れやすいのが特徴です。
どうしてアルツハイマー病になるの?
アルツハイマー病の脳では、アミロイドβというタンパク質が少しずつ溜まり、「老人斑」というかたまりを作ります。 このアミロイドβの蓄積が神経細胞に悪影響を与え、長い時間をかけて記憶や判断の働きを妨げます。
※この変化は、症状が出る15〜20年前から少しずつ始まっていることがわかっています。
ご家族へのメッセージ
介護は「一人で抱え込まない」ことが大切です。 おおうら脳神経内科クリニックでは、ご家族へのサポートや相談も重視しています。
- 治療中の心配事や生活上の困りごと
- 介護サービスや制度利用の相談
どんな小さなことでも構いません。私たちと一緒に、安心して歩んでいきましょう。
新しい治療薬「抗アミロイドβ抗体」とは?
これまでの認知症治療薬は「今ある症状を和らげる薬」でした。 それに対して、抗アミロイドβ抗体(レカネマブ・ドナネマブ)は、 アルツハイマー病の“原因物質”であるアミロイドβを取り除き、病気の進行をゆるやかにすることを目的としています。
効果の目安
臨床試験では、認知機能の低下の進みを数か月ほど遅らせることが確認されています。 個人差はありますが、「軽い症状で過ごせる時間を少しでも長く保つ」ことが期待できる治療です。つまり、「今のあなたらしさを少しでも長く保つ」の治療です。
(※27%、29%の進行抑制効果が報告されていますが、実際の効果は個々の状態によって異なります)
副作用について
主な副作用は、ARIA(アリア)と呼ばれる脳のむくみや微小出血です。
臨床試験では、
- レカネマブ:約1〜2割
- ドナネマブ:約2〜3割
の方にMRI上でARIAが確認されました。
ただし、大多数は無症状で経過します。 一部の方に頭痛・めまい・けいれんなどの症状が出ることがあり、その場合は一時的な治療休止などで対応します。
当院では、治療前・治療中ともに定期的なMRI検査を実施し、安全性をしっかり確認しながら治療を進めます。
当院の治療
初診・ご相談もお気軽にどうぞ
おおうら脳神経内科クリニックでは、レカネマブ(レケンビ®)・ドナネマブ(ケサンラ®)による治療に対応しています。
当院は初回投与が可能な施設となっておりますので、初めて治療を行う方もお気軽にご相談ください。「この薬が自分に合うか知りたい」という段階でもご相談可能です。
- 「どんな検査が必要か知りたい」
- 「自分が対象になるのか確認したい」
- 「副作用や費用が心配」
こうした不安や疑問に対して、当院では専門医が丁寧に説明し、最適な治療計画を一緒に立てます。
治療前の検査から治療後のフォローアップまで、すべて一貫してサポートいたします。
通院スケジュールの目安
| 薬の名前 | 投与方法 | 通院頻度 | 投与期間 |
|---|---|---|---|
| レカネマブ(レケンビ®) | 点滴(約1時間15分) | 2週間に1回 | 約18か月 |
| ドナネマブ(ケサンラ®) | 点滴(約45分) | 4週間に1回 | 約12〜18か月 |
MRIモニタリング
ARIAの早期発見と安全管理のため、以下のタイミングでMRI検査を行います。
- レカネマブ(レケンビ®):5回目・7回目・14回目の投与前にMRI
- ドナネマブ(ケサンラ®):2回目・3回目・4回目・7回目の投与前にMRI
その後は、両薬剤とも6か月ごとにMRIおよび認知機能検査を実施します。
適応判定のための検査体制
- 心理検査:認知機能の状態を詳しく評価します。
- 脳MRI検査:萎縮や出血・むくみ等の有無を確認します。
- アミロイドPET検査:当院では脳脊髄液での確認は行わず、全員アミロイドPETで確認します。
アミロイドPETは連携医療機関へ依頼して実施します。
費用に関するご相談
この治療は新しい高額な薬剤を使用するため、 自己負担はおおよそ年間で数十万円〜百万円前後になる場合があります(保険適用・自己負担割合により変動)。
ただし、
- 高額療養費制度
- 医療費助成制度
を活用することで、自己負担を大きく減らせる可能性があります。
盛岡市|高額療養費制度のご案内もご確認ください。
「費用がどのくらいかかるのか不安…」という方も、 当院でおおまかな目安をもとにご相談いただけます。お気軽にご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
新しい薬は、アルツハイマー型認知症を完治させることができますか?
残念ながら、現時点では完治させることはできません。新しい薬は、病気の進行を遅らせることを目的としています。認知機能の低下をゆるやかにし、ご本人らしい生活を送る期間を少しでも長くするための薬です。
誰でもこの新しい薬による治療を受けることができますか?
いいえ、対象となる患者さんは限られています。「軽度認知障害(MCI)」または「軽度アルツハイマー型認知症」と診断され、脳にアルツハイマー病の原因物質(アミロイドβ)が蓄積していることが確認された方が対象となります。
治療を始める前にどのような検査が必要ですか?
治療の適応を判断するため、主に以下の検査が必要です。
- 心理検査: 認知機能の状態を詳しく調べます。
- 脳MRI検査: 脳の萎縮や、出血・むくみなどの異常がないかを確認します。
- アミロイドPET検査: 当院では脳脊髄液での確認は行わず、全員アミロイドPETで確認します(検査は連携医療機関で実施)。
治療期間はどのくらいですか?
治療薬の種類によって異なります。例えば、レカネマブ(レケンビ®)は原則18か月間、2週間に1回の点滴が必要です。ドナネマブ(ケサンラ®)は、アミロイドβの除去が確認されれば投与が完了となり、最短で12か月、最長で18か月となります。
副作用はありますか?
主な副作用はARIA(アリア)と呼ばれる脳のむくみや微小出血で、約1〜3割の方にMRI上で見られます。 多くは無症状で経過し、一部の方で頭痛や吐き気などが出る場合には医師が対応します。 治療中は定期的にMRI検査を行い、安全に進められるよう管理します。
なお、レカネマブは5回目・7回目・14回目前、ドナネマブは2回目・3回目・4回目・7回目前にMRIを行い、その後は6か月ごとにMRIと認知機能検査を実施します。
治療中にMRI検査が必要なのはなぜですか?
アミロイド関連画像異常(ARIA)はMRIでしか確認できない場合があります。安全に治療を続けるため、治療開始前と治療期間中に定期的なMRI検査が義務付けられています。
費用はどのくらいかかりますか?
おおよその自己負担は年間数十万円〜百万円前後となるケースが多いです(負担割合による)。 ただし、高額療養費制度や医療費助成を活用すれば、実際の負担はかなり軽くなることもあります。 当院では、制度の活用方法や目安について丁寧にご案内します。
盛岡市|高額療養費制度もご参照ください。
点滴はどれくらいの時間がかかりますか?
レカネマブ(レケンビ®)は約1時間15分、ドナネマブ(ケサンラ®)は約45分程度です。
家族だけで治療の相談に行ってもいいですか?
はい、もちろんです。ご本人が来院することが難しい場合でも、ご家族だけでも医師にご相談いただけます。
治療を受けられる病院はどこにありますか?
おおうら脳神経内科クリニックで、レカネマブ・ドナネマブ治療が可能です。
あわせて、岩手県内の情報は岩手県|アミロイド抗体薬に関する情報をご確認ください。
どちらの薬がよいですか?
検査の結果や通院の負担などを総合的に判断し、医師が提案します。最終的にはご本人の希望で決定します。